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計器の検査方法および装置

(書誌+要約+請求の範囲)

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開平7−190841
(43)【公開日】平成7年(1995)7月28日
(54)【発明の名称】計器の検査方法および装置
(51)【国際特許分類第6版】
G01F 25/00 C
G08C 15/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願平5−331365
(22)【出願日】平成5年(1993)12月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号
(72)【発明者】
【氏名】大六野 博孝
【住所又は居所】大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】西尾 武司
【住所又は居所】大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 富徳
【住所又は居所】大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内
(74)【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎



(57)【要約】
【目的】 計器の誤差測定作業などの検査を自動的に行うこと。
【構成】 管路または容器と計器との間に介在されている開閉弁を閉じ、この計器に、予め定める圧力を与えて、その圧力を圧力検出手段によって正確に検出し、計器からの圧力検出信号を電流値に変換して、信号線を介してコンピュータなどの処理手段に伝送して受信させ、この処理手段からは、圧力検出信号の圧力値を表す信号を、信号線にパルス状にして重畳して再び伝送し、計器側で、圧力検出手段の検出圧力と処理手段からの信号線を介する圧力とを比較手段で比較する。



【特許請求の範囲】
【請求項1】 管路または容器と計器との間に介在されている開閉弁を閉じた状態で、計器に予め定める値の物理量を与えるとともに、その物理量を検出手段によって検出し、計器からの検出信号を、伝送して処理手段で受信し、この処理手段から前記検出信号の物理量の値を表す信号を伝送し、計器側で、検出手段の検出値と処理手段からの前記物理量の値とを比較することを特徴とする計器の検査方法。
【請求項2】 物理量は、圧力または流量であることを特徴とする請求項1記載の計器の検査方法。
【請求項3】 請求項1において、計器からの検出信号およびこの処理手段から前記検出信号の物理量を表す信号を信号線によって、伝送することを特徴とする計器の検査方法。
【請求項4】 管路または容器の物理量を検出し、その物理量に対応したレベルを有する検出信号を導出する計器と、計器からの検出信号を伝送する信号線と、信号線を介する検出信号を受信して処理するとともに、その受信した検出信号の物理量の値を表す信号を導出する処理手段と、処理手段からの前記物理量の値を表す信号を前記信号線にパルスまたは交流信号として送出する信号送出手段と、管路または容器と計器との間に介在される開閉弁と、計器に、開閉弁が閉じている状態で予め定める値の物理量を与える手段と、前記物理量を与える手段によって計器に与えられる物理量を検出する検出手段と、検出手段の出力と信号送出手段からの前記信号線を介する出力とを比較する比較手段とを含むことを特徴とする計器の検査装置。
【請求項5】 検出手段は、信号線に、物理量に対応した電流を流すように構成され、信号送出手段は、前記電流に前記パルスまたは交流信号を重畳することを特徴とする請求項4記載の計器の検査装置。

詳細な説明

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガス製造設備などにおける圧力計および流量計などの物理量を測定する計器の検査を行うための方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】典型的な先行技術は、特開昭61−94200に開示されている。この先行技術では、作業者は計測部の調整を行い、その調整結果は計測部から遠く離れて接続されている遠隔計測装置の計測結果表示部に表示され、その表示結果を判別装置によって読取らせて音声合成装置によって音声に変換し、その音声合成装置からの発声音は、常に送話状態にしたトランシーバに伝え、このトランシーバから、前記作業者の近くにおいてある別のトランシーバで受信し、作業者は、その調整結果を知ることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような先行技術では、計測部に1人の作業者がいれば、調整結果を知ることができ、作業者の数を減らすことができ省力化が可能となるけれども、さらに自動的に計器の誤差測定作業などの検査を行うことができることが望まれ、これによって作業時間の短縮、均一化を図ることが望まれ、人為的ミスを減少し、計器誤差測定作業の信頼性を向上することが望まれる。
【0004】本発明の目的は、計器の誤差測定作業などの検査を自動的に行うことができるようにした計器の検査方法および装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、管路または容器と計器との間に介在されている開閉弁を閉じた状態で、計器に予め定める値の物理量を与えるとともに、その物理量を検出手段によって検出し、計器からの検出信号を、伝送して処理手段で受信し、この処理手段から前記検出信号の物理量の値を表す信号を伝送し、計器側で、検出手段の検出値と処理手段からの前記物理量の値とを比較することを特徴とする計器の検査方法である。
【0006】さらに本発明は、上述の計器の検査方法において計器からの検出信号およびこの処理手段から前記検出信号の物理量の値を表す信号と信号線によって伝送することも特徴とする。
【0007】また本発明は、物理量は、圧力または流量であることを特徴とする。
【0008】また本発明は、管路または容器の物理量を検出し、その物理量に対応したレベルを有する検出信号を導出する計器と、計器からの検出信号を伝送する信号線と、信号線を介する検出信号を受信して処理するとともに、その受信した検出信号の物理量の値を表す信号を導出する処理手段と、処理手段からの前記物理量の値を表す信号を前記信号線にパルスまたは交流信号として送出する信号送出手段と、管路または容器と計器との間に介在される開閉弁と、計器に、開閉弁が閉じている状態で予め定める値の物理量を与える手段と、前記物理量を与える手段によって計器に与えられる物理量を検出する検出手段と、検出手段の出力と信号送出手段からの前記信号線を介する出力とを比較する比較手段とを含むことを特徴とする計器の検査装置である。
【0009】また本発明は、検出手段は、信号線に、物理量に対応した電流を流すように構成され、信号送出手段は、前記電流に前記パルスまたは交流信号を重畳することを特徴とする。
【0010】
【作用】本発明に従えば、計器の測定誤差を自動的に検査するために、管路または容器と計器との間に介在されている開閉弁を閉じた状態とし、この状態で、計器に予め定める値の物理量を与え、その計器に与えた物理量を、検出手段によって正確に検出し、計器からの検出信号は、信号線を介して、または無線で伝送して処理手段に与えて演算処理を行うとともに、この処理手段では、その受信した検出信号の物理量の値を表す信号を導出して伝送し、計器側では、検出手段によって検出された正確な検出値と、処理手段において受信された計器の値とを比較する。こうして、計器の検査を、自動的に行うことが可能になる。
【0011】
【実施例】図1は、本発明の一実施例の全体のブロック図である。ガスなどを輸送する管路1内の圧力を検出するために、圧力計2が設けられる。管路1と圧力計2との間には、開閉弁3と、T字管4とが介在される。圧力計2は、T字管4の圧力を検出する圧力検出素子5と、その圧力検出素子5の出力に応答し、圧力を電流に変換し、その圧力に対応した電流値を有する圧力検出信号を導出する発信器6とを含む。この発信器6からの出力は対を成す信号線7を介して伝送され、圧力計2から遠く離れた位置に設けられた中央監視室において、インタフェイス8を介してディストリビュータ9に与えられる。このディストリビュータ9は、圧力計2の測定のための電力を供給する電源として働き、また信号線7に電流信号を与える電源としての働きを果たす。この信号線7によって伝送されてきた電流値は、アナログ/デジタル変換器33によってデジタル値に変換され、コンピュータなどによって実現される処理手段10に与えられて演算処理され、圧力計2の検出圧力は、表示器11によって目視表示され、またメモリ12にストアされ、演算処理のために用いられ、印字記録も可能である。
【0012】圧力計2の誤差測定の作業の検査をするために、圧力計2側では検査手段13が設けられ、また処理手段10側では信号変換回路14と、前述のインタフェイス8とが設けられる。検査手段13において、圧力計2の検査にあたっては、先ず、作業者は開閉弁3を閉じる。次に、T字管4に接続されているコネクタ16に、検査手段13のコネクタ17を接続する。コネクタ16は、もう1つのコネクタ17に着脱可能に接続されている状態で、T字管4と可撓管18とを連通して接続し、コネクタ17がコネクタ16から離脱されている状態で、コネクタ16は閉塞された状態となっており、これによってT字管4からのガスの漏洩が生じない。圧力源19は、窒素ガスを高圧力で充填した圧力容器であってもよく、あるいは窒素ガスなどを供給するために工場に布設された管路であってもよく、このような圧力源19からの窒素ガスは、着脱可能なコネクタ34,35を介して開閉弁20から自動調圧器21を経て可撓管18に供給される。この自動調圧器21は、信号線22を介する圧力指令信号に応答し、減圧手段26によって、その指令された圧力となるように2次圧を調整し、可撓管18に与える。可撓管18の圧力、したがって開閉弁3が閉じられている状態で圧力計2に与えられる圧力は、圧力検出手段23によって検出され、その圧力が正確に測定される。この測定値は、基準値として比較手段30の一方の入力に与えられる。作業者は、キーボードなどの入力手段24を操作し、これによって指令器25は信号線22に、圧力指令信号を導出して、減圧手段26に与える。
【0013】信号線7にインタフェイス8から伝送されてきたパルスまたは交流信号は、変流器などの検出手段27によって検出され、信号線28を介して受信手段29に与えられる。比較手段30は、圧力検出手段23の出力と受信手段29によって受信された信号の表す出力とを自動的に比較し、その比較の結果、誤差が予め定める値を超えるときには、ランプまたはブザーなどの表示手段31を動作させる。また比較手段30では、メモリ32の内容に基づき、圧力計2の誤差が予め定める値を超えるときには、表示手段31を動作させる。表示手段31には、受信手段29からの出力の圧力値をも常時表示しており、この表示している圧力値が安定化したとき、操作者が入力手段24を操作して比較手段30による比較動作を行わせるようにしてもよい。
【0014】処理手段10に関連して、信号変換回路14は、信号線7を介する圧力計2からの圧力検出信号の受信した圧力値を表すパルスまたは交流信号などのデシタル信号を作成し、インタフェイス8を介して信号線7に送出される。
【0015】図2は、信号線7の信号波形を示し、この図2を参照して動作を説明する。圧力計2の検査にあたっては、開閉弁3を閉じ、入力手段24の操作によって自動調圧器21から可撓管18、T字管4を経て圧力計2の圧力検出信号に作業開始信号となるたとえば2つの圧力P1,P2(P1>P2)を時刻t1〜t2,t2〜t3間で順次的に発生させる。このような信号は、信号線7からインタフェイス8、ディストリビュータ9およびアナログ/デジタル変換器33を経て処理手段10に与えられ、ここで、上記のように予め決められた作業開始信号が読み取られ、作業開始が判断される。次に、時刻t4以降では、指令器25は、自動調圧器21の減圧手段26に、予め定める圧力P3となるための圧力指令信号を与える。この圧力P3は圧力検出手段23によって検出され、比較手段30の一方の入力に与えられる。自動調圧器21からの圧力は、圧力計2に与えられ、したがって信号線7には図2の時刻t4〜t5で圧力P3に対応した電流値を有する信号が送出される。この電流値の圧力検出信号は、インタフェイス8およびディストリビュータ9、さらにアナログ/デジタル変換器8によってデジタル値に変換され、処理手段10に与えられ、メモリ12にストアされる。信号変換回路14は、処理手段10において受信した圧力検出信号の圧力P3の値を表すパルスまたは交流の信号を作成して、インタフェイス8によって、そのパルスまたは交流の信号は、信号線7の電流信号に重畳して送出する。この重畳された信号q1は、図2に示されるようにこの実施例ではパルスであるけれども、正負に変化する交流信号であってもよい。こうして、信号線7には圧力計2の発信器6からの電流の圧力検出信号に、信号q1が重畳されて伝送された状態となっている。
【0016】検出手段27は、信号線7に伝送されてきた信号q1を検出して受信手段29に与える。比較手段30は、前述のように圧力検出手段23からの正確な圧力と、検査されるべき圧力計2の処理手段10において受信された圧力とを比較し、その誤差を求め、この比較手段30に接続されるメモリ32にストアする。このような動作を、指令器25において予め定める複数の圧力値毎に繰返し行う。たとえば圧力計2の検出可能な定格圧力が、たとえば200mmH2Oであり、その圧力計2の検査を行うために、前述の時刻t4〜t5では、自動調圧器21によって可撓管18、したがって圧力計2に与えられる圧力P3を、その定格の25%の圧力とし、これによって上述の検査を行い、その後、時刻t5〜t6では、自動調圧器21によって圧力計2にその圧力計2の定格圧力の50%の圧力P4を与え、以下同様にして時刻t6〜t7,t7〜t8で75%および100%の圧力P5,P6を与え、圧力増加時の圧力計2の検査を行う。その後の時刻t8〜t9,t9〜t10,t10〜t11では、圧力計2に与えられる圧力P5,P4,P3を順次的に時刻変化して検査を行う。このようにして、圧力計2の圧力検出のヒステリシス特性を調べることもまた可能である。このような一連の動作は、自動的に行うことができる。P1=P3であってもよい。このような比較動作の終了後には、たとえば時刻t12〜t13において自動調圧器21によって圧力P2とし、その後の時刻t13〜t14において圧力P1として予め定められた作業終了信号を発生し、これによって処理手段10は、前述の信号q1などの重畳動作を終了する。
【0017】図3は、本発明のさらに他の実施例の中央監視室側の構成を示すブロック図である。この実施例は前述の実施例に類似し、対応する部分には同一の参照符を付す。特にこの実施例では、インタフェイス8を介して信号線7から与えられた電流信号は、入力/出力インタフェイス38から制御バス39を経てコンピュータによって実現される処理回路10aに与えられて入力され、その読取られた圧力を表す信号は制御バス39からコミュニケーションゲートウェイ40から、商品名RS−232Cなどとして知られているインタフェイス41を経て制御器42に与えられ、これによって前述の重畳されるべき信号qが信号線43からインタフェイス8に与えられて信号線7で重畳されることになる。
【0018】圧力計2の圧力検出素子5は、たとえば(a)ブルドン管であってもよく、あるいは(b)圧力によって変位する可動電極であるダイヤフラムと、固定電極との間の静電容量を検出する構成であってもよく、あるいはまた(c)加えられた圧力によって電気抵抗が変化する半導体材料から成る構成であってもよく、さらにまた(d)ダイヤフラムにストレンゲージを固定した構成などであってもよい。
【0019】本発明では、圧力計2の検査のために作業者は検査手段13および検出手段27を携帯すればよく、こうして複数の場所に設けてある圧力計2の検査を自動的に行うことができるようになる。本発明は、管路に関連して実施されるだけでなく、容器などに関連してもまた、計器が設けられ、そのような計器の検査のために実施することができる。さらに本発明は圧力計だけでなく流量計およびその他の計器に関連してもまた、本発明を実施することができる。メモリ32は、たとえばカード状の集積回路(略称IC)メモリなどとして、比較手段30に着脱可能にコネクタなどで接続されるように構成されてもよく、このようにすれば、データの処理、取扱いが容易になる。
【0020】上述の実施例では、検出手段27はクリップオン式電流検出器(電流による磁気を検出するもの)が用いられたけれども、本発明の他の実施例として、その他の電流を検出する手段であってもよい。すなわち本発明の実施例として、検出手段27は、発信器6から信号線7を経て導出される電流信号と同一のまたは対応する電圧信号を、検出できるように、発信器に予め設けられているテスト端子に接続して、測定できる電圧検出器であってもよい。
【0021】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、管路または容器と計器との間の開閉弁を閉じた状態として、計器に予め定める値の物理量を与えて正確な物理量の値を検出手段によって検出するとともに、計器からの検出信号を、信号線を介して処理手段に伝送し、この処理手段では、伝送されてきた検出信号の物理量の値を表す信号を、前記信号線に伝送し、計器側で、検出手段の検出値と、処理手段からの信号線を介する物理量の値とを比較手段で比較するようにしたので、自動的に、計器の誤差測定などの検査を行うことができるようになり、これによって作業の時間短縮、均一化を図ることができ、また前述の先行技術における音声のトランシーバを用いた伝送が必要でなくなり、人為的ミスが減少し、検出器の検出の質の向上等計器の検査の信頼性が向上される。

 

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